ちら裏

ちらしの裏に雑に書きなぐるイメージ

年末にペルソナ5をプレイする

 

最近めでたいことに、ペルソナ5がGOTYにノミネートしたことを知った。日本が誇るJRPGタイトルの一柱が世界に認められたということは、消費者ながらたいへん喜ばしいことだ。

そういえばPS4タイトルで一番最初に購入したのがペルソナ5だったな。ふとそんなことを思い出した私は、ビールを一缶飲んでほろ酔いの中、様々なタイトルが収められた棚の端からケースを手に取り、指で慎重に抑えながら取り出したディスクを挿入口に入れた。

「はじめる」を押してしばし、美しく動くOPアニメーションが始まった。軽快な音楽に合わせ、道の上を華麗に踊りながら滑っていくキャラクター達。初見の頃は次世代ゲームハードによって描かれる映像美にただただ見とれるばかりで、演出の意味も、張られていた伏線もよくわかっていなかった。

タイトル画面がディスプレイに現れ、酔った勢いで「New game」を選択。私のディスプレイ上で再び、怪盗団の波乱に満ちた一年が始まった。

この文章を読んでいるであろう人はご存知だと思うが、ペルソナ5というゲームは作中において「日にち」の概念が存在し、ストーリー進行と一年の進行が連動している。(もっというとペルソナ3から導入されたシステムである)

一度ストーリーをクリアしたことで冷静に作品に向き合うことができるようになった私は、主人公の一年と自分の今年一年を重ねながら「2周目」をスタートしたのだった。

作中何かイベントが発生する度、そういやこの頃自分にはこういった出来事があったなと振り返りを行い、懐かしんだ。思い悩んだ4月に始まり、希望を抱いた5月、それがメタメタにへし折られた6月、死にかけた7月、光明が差した8月、9月。もがきはじめた10月、11月、そしてその結果が現れつつある12月。

 

私にとってこの一年は間違いなくキツイものだった。悲しみ、裏切り、挫折。

これほどまでにキツイ一年は久しぶりだ。高校3年の時以来。だがペルソナ5の主人公がそうだったように、私には仲間がいた。私が壊れかけている時、声をかけてくれる人間が少なからずいることを知った。「1周目」プレイ当時とは異なりそのことに気づくことができた。

 

ペルソナ5を初めてプレイしていた頃は、「明智吾郎」というキャラクターに自分を重ねていた。

周囲の人間に対しひたすらに嫉妬し、恨み、がむしゃらに努力していた1周目の自分にとって、自らを捨てた父に復讐心を抱きながら、それでいて唯一のつながりである父に認めて欲しいという愛憎入り混じった内面を持つ明智吾郎のキャラクターは、自分の写し身であるように思えた。

 

物語が終盤に差し掛かった頃、彼と決着をつけるべく戦うことになる場面が存在する。

主人公と同じく複数のペルソナを持つ才能「ワイルド」を持ちながら、「嘘」と「本音」の2種類しかペルソナがなかった明智吾郎は、多種多様な人間と親密に関わる中で様々なペルソナを作り上げることに成功した主人公一行に敗れ去ることになる。「わかりあえたとしても壁を越えられず主人公の側に行けなかった」彼の最期のシーンは、過去が脳裏にちらついて直視するのが非常に辛かった。当時の私はどうしてもアウトローアウトサイダーであり、「そちら側」には行けず皆とは馴染めない。もう引き返せないところにまで来ているのだと、ずっと思い込んでいたのだ。

 

そして2周目。私の心は明智吾郎にはなく主人公へとその居場所を変えていた。

私は実は孤独ではなかったということをこの一年で知ったからだ。自分がどれだけ外れた人間であっても、心の壁をとっぱらい、相手に対して真摯に向き合うことができれば、どれだけ距離が離れていようと誰かはこちらを観てくれるし、近寄ってく来てくれさえしてくれることに気づいたからだ。「自分にとっての怪盗団を結成」という程ではないが、アウトローにはアウトローなりの生き方、幸せがあるのだということを今更ながらに知ったのだ。

 

自分も含め、人間は非常に愚かな生き物だ。固定観念に囚われ、生物としての特徴である思考を放棄し、事実に対しては見て見ぬふりする。かつての私はそんな人間に対し勝手に期待し勝手に裏切られていた。前と後ろしか観ておらず、足元がお留守になっていた。自分を観ていなかった。

だが今は違う。正義とは何か、自分の望みとは何かということを知っている。「世界はいくらでも塗り替えられる」ということを知っている。世界に自分の足で立っているという感覚を得ることが出来ている。

 

 

二度目のスタッフロールがディスプレイの中を流れている。再び私はラスボスを倒し、世界に平穏を取り戻すことに成功した。

現実の私はというと、強敵とは何度も戦うことはあったのだが未だラスボスに会うことに成功していない。物語の終わりも見えない。ただBADENDは回避出来そうであることは、確信している。