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アサシンクリード オリジンズ レビュー

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この時をどれだけ待ちわびただろうか。

このアサシンクリードシリーズ最新作「アサシンクリード オリジンズ」というゲームは物語の背景こそシリーズの原点を謳ってはいるが、あらゆる点でシリーズ集大成と呼べる出来栄えに仕上がっている。

これまでの単調なものから良い意味で複雑化した敵とのバトル、より美しく高精細となった映像美、圧倒的スケールで描かれるストーリー。なんだか安っぽい言葉ばかりになってしまったが、人が本当に美味しい食べ物を口にした時「美味い」という言葉しか口にしなくなってしまうようなものだ。

ではどこがどう素晴らしいのか。なるべくネタバレを控えながら、「ストーリー」、「ゲームシステム」、「観光ゲー」の点からこのゲームについて語っていこうと思う。

 



 

歴史ロマン溢れるストーリー

アサシンクリードシリーズの醍醐味のひとつといえば、初作から延々と続いている奥深い物語である。しかし、「シリーズ物」ということで購入を断念してしまう方も多い。

そういう「プレイしたいけど物語の背景がわからんのだ」という人の為に、軽くシリーズ全体に関わる設定について説明しておこう。

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太古の昔、地球は宇宙人(作中では「かつて来たりし者」と呼ばれる)によって支配されており、彼らは卓越した科学技術によって人間を生み出し、洗脳し、奴隷としてこき使っていた。人間は宇宙人達の姿そっくりにできているので、情が芽生え密かに彼らとの間に子供を作っていたりもした。

そんなある日、「アダム」「イヴ」という宇宙人の血を引く二人の人間が施設「エデン」から脱走、集団を形成し宇宙人達に反旗を翻す。

その後なんやかんやあって宇宙人達は滅亡してしまう。

 

そして遥か長いときが流れ、宇宙人の血を引く人間の子孫達は「アサシン教団」を形成。宇宙人達が遺した科学技術及び、「Peace of Eden:エデンの果実」と呼ばれる人間を操る為のガジェット群を封印するため世界各地、歴史の裏で暗躍を続けることになる。

これに対するは「テンプル騎士団」。十字軍を端とした、エデンの果実を用い世界征服を狙う組織である。

 

さらに宇宙人の生き残り達が現れ、彼らも人間支配派、共存派と一枚岩ではいかない様子。さあどうなる。

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読んでいただけたのなら分かると思うが、アサシンクリードシリーズは単なる歴史ロマンではなく、れっきとしたSFなのだ。この中でも「宇宙人」と「エデンの果実」について覚えておけば、そうそう設定に関してこんがらがることはないだろう。

 

アサシンクリードシリーズは基本的に各時代、各地方におけるアサシンの活躍を描きながら、現代編が少しずつ進展していくという内容なのだが、(ex.アサシンクリード…12世紀末、エルサレムが舞台)今作は時系列でいうとほぼ一番最初。「アサシン教団」がどのような経緯で作られたのかを描くものとなっている。その為、作中ではアサシン専門用語どころか「アサシン」という言葉すら殆ど出てこず、本シリーズに一切触れたことがない人でもすんなり物語に入り込むことができる。

 

閑話休題。肝心の本作におけるストーリーだが、歴代の作品の中で1,2を争う素晴らしさだと思う。

舞台はプトレマイオス朝が支配する古代エジプト。主人公である「バエク」はエジプトの「メジャイ」として全国に名の知れた勇士だ。

「メジャイ」とは「エジプトの守護神」の意味をもつ称号で、メジャイは古来の伝統を重んじ、エジプトの為に働く。いわば国家公務員、それを超えた存在である。

ある日バエクが最愛の息子と共に出かけている際、謎の組織に襲われ囚われてしまう。なんとか息子と共に脱出を図るが、敵を退ける際にあろうことか息子を盾にされ、バエクは自らの手で息子を殺してしまう。なんとか脱出したバエクは息子を自ら手にかけたトラウマに苛まれながら、復讐の為に全てを掛ける覚悟を誓う。

その頃エジプトは組織の傀儡と化したプトレマイオス14世とローマの英雄カエサルと組んだクレオパトラの政争が発生しており、メジャイであるバエクは当然のごとく巻き込まれていく。

 

 

全体的にひたすら泥臭く、血なまぐさい。エジプトの人々が本当に明るい分、バエクが抱えている心の闇と事件の凄惨さが引き立つ。エジプトの為に、復讐の為に動くバエクがどうやって中立のアサシン教団を立ち上げることになるのか。テンプル騎士団がまだ成立していない時代においてどうエデンの果実と謎の組織は絡んでくるのかが見どころである。(軽いネタバレになるが、歴代作品においてカエサルクレオパトラは後にバエクとは異なるアサシンによって暗殺されることが示唆されている。そんな二人の行く末も気になるところだ。)

 

現代編に関してはあえて伏せておく。その目で確かめて欲しい。

 

 

ストーリーと言えば、本作は膨大にある「サブ」ミッションにも短いストーリーが「ウィッチャー3」ほどではないにしろ、しっかりと仕込まれている。バエクのプライベートなことだったり、予想外なオチがまっていたり、エジプトの文化に深く関わることであったり。

ミッション内容は所謂世直し系であったり、護衛だったり、救出であったり、散策だったりと「アサシンクリードシリーズ恒例」のものが多いが、興味深い小話のお陰で、ワンパターンと飽きずに取り組むことができる。

 

「アサクリ2」の時とはまた違ったド直球な復讐劇が、国家存亡に関わる政争と後に活躍するアサシン教団設立という壮大な背景の元に描かれる本作は、例え初心者がストーリー目当てで買っても全く損はしないだろう。

 

 

より深みを増したゲームシステム

正直言って、これまでの歴代タイトルにおける基本のゲームシステム、つまり「暗殺」に関するシステムはかなり似通っており、マンネリという言葉がよく似合うほど新製品を出しても出しても変わることがなかった。 敵を見つけて、暗殺する。建物を登って、ナイフを一発。家具の影からブレードで一刺し。見つかってもカウンターと煙玉で一掃可能。シリーズ全部これ。別に多用な暗殺手段があるわけでもなく、見つからないことで得することもなし。話自体は面白いのに途中で飽きが来る理由の全般がこれである。

 

しかし今作では見事にこのマンネリを打破することに成功している。

率直に言うと、RPGライクの「レベルシステム」と所謂ハクスラの要素を取り入れたのだ。エネミー上部にレベルと体力ゲージが表示され、不意打ちによる「一撃死」が「大ダメージ」に変更、体力/攻撃力の概念が明確になった(それ故レベルが高すぎる敵は不意打ちでも殺せない)他、同じ名前でも能力の異なる武器防具が宝箱のみならず敵からのドロップで入手可能になった。勿論強化可能である。

スキルシステムも充実しており、弓矢による狙撃主体、直接戦闘主体、道具多用による搦め手主体の3種の方向にキャラクターをビルディングできる。

 

戦闘そのものはこれまでの単調なものから「ソウルライク」なものに変更になった。

 敵の攻撃をステップで躱すのは勿論、盾でパリィも可能。武器種も豊富で、多様な戦闘が楽しめる。敵も強くなり1対1なら負けない(ことが多い)ものの、囲まれると途端になぶり殺しにされてしまう。

何もエネミーは人だけとは限らない。ハイエナやワニなど、エジプトに生息する生き物とも戦える。個人的に一番強いと感じたのは「カバ」だ。見た目によらず凶暴なことで知られるカバだが、ゲームを通じてその凶暴性を理解することになるとは思わなかった。

 

フリーラン及びスニーキングに関してはそこまで変化はない。その中でも明確に変わったと言える点は、使用すると壁越しの敵が全て確認可能になる「鷹の目」が廃止され、相棒の鷹「セヌ」を上空高く飛ばしそこからマップを俯瞰、敵のマーキングするというものに変更になった点だろう。これがまた便利で単にサーチをするだけではなく、援護攻撃をしてくれたり、景色を楽しむ為に使うこともできる。

戦闘が複雑な仕様になり、スニーキングの重要性が増した今作においては重要な機能だ。

 

戦闘が複雑化すると聞くと、ACTゲーム苦手でどうしても手が出しづらいと思う人もいるだろう。だが安心して欲しい、本作から難易度設定が導入された。イージーならば、苦手な人、初挑戦な人でもスニーキングと戦闘を楽しめるだろう。

システムの改変により特に戦闘に関してはこれまでの鮮やかで「アサシン」らしいものではなくなってしまったが、アサシン教団ができる前の物語ということで、戦闘マニュアルが確立していないからこそ多種多様な戦闘方法を試しているんだなぁと設定に実にマッチしている様に私は思えた。

 

 

エジプト観光ゲーとして

 アサクリといえば、「ストーリー」「暗殺」そして「観光」である。

「お手軽世界旅行ゲー」の二つ名は今作においても健在であり、大幅に向上したグラフィックでもって広大な古代エジプトの世界を思う存分観光することができる。市街地探索は勿論、神殿、ピラミッド、大図書館といった歴史的建造物の中に入ることもできる。

 

 正直最近のシリーズは都市が舞台だったせいか、地域ごとの町並みの違いを大きく感じ取ることは難しく、視覚的な楽しみはプレイ当初こそあったが、時間が進むにつれ次第に見慣れた背景と化していった。しかし本作はエジプト全土が舞台なこともあり、都市、田舎両方の景色を楽しむことが可能だ。

 

 

 

もう観光と映像美に関しては実際にプレイして欲しいとしかこれ以上言い様がない。

なるべく良いモニターとPS4 Proで楽しむことをオススメする。正直我が家のPS4がProでないことを初めて恨んだ。

今後の無料アップデートで敵が一切出現せず、景色を観ながら歴史を学べる「観光モード」が実装予定であることは、忘れてはならない要素だ。

 

 

 

 不満点

この素晴らしいゲームに不満点を挙げるとするならば、金策の難しさだろう。

本作はとにかく金が要る。バエクの衣装スキンは勿論、武器のアップグレードの為に素材を購入したり(アビリティによって可能になる)と、サクサクプレイをしようとするととにかく金がかかるのだ。しかし本作でのゲーム内金策手段は、道中で拾う他武器を売るしかない。前作まであった「領地及び銀行システム」がないため(そもそも銀行という概念がない世界なのだが)自動で金が貯まることがなくなっている。

時短手段として海外では最早おなじみ「ルートボックス」システム、要するに課金によって金や素材、限定スキン等を得ることが可能になっているが、正直私はフルプライス製品へのこういった恒常的な課金システムは好きではなく、課金システムを導入するためにあえてシステムを不便にするのはどうなのかと思ってしまう。(DLCは良いと思う)

 

その他、UBI特有のCGバグに関しては特に致命的なものはなかった。壁に埋まることが時々あったくらいだ。

 

 

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記事冒頭でも書いたが、本作はこれまでの集大成といっても過言ではない出来栄えに仕上がっている。今年発売のPS4ゲーム群の〆を飾るにふさわしい作品と言えるだろう。