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UNDERTALE(PS4版) レビュー

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「第四の壁」。 演劇を端とした「舞台と観客を永遠に隔てる幕」を意味するこの言葉。この壁を意識し、破るキャラクターが登場する物語のジャンルを俗にメタフィクションと呼ぶが、このジャンルに属する作品は非常に(面白さという意味で)ピンきりなことが多く、スパイスを効かせすぎた結果、ただひたすらに作者がプレイヤーに対しゲームを通して皮肉を超えた辛口な説教をするという内容になっている作品も少なくはない。

本来「第四の壁」を破る演出は、見る側、プレイヤーを観客という神の視点から舞台へ引きずり落とすことで、物語への没入感を一層増す効果があるとされているのだが、私が今まで観てきた、体験してきた(メタフィクション的要素を導入した)作品群は、どうも演出が中途半端なものが多く逆に物語への没入感を阻害してしまっていたものがほとんどだった。私はこの手の作品がどうも苦手だったのだ。この「UNDERTALE」というゲームをプレイするまでは。

 

 

「UNDERTALE」は「古き良き」という言葉が似合う2DタイプのRPGだ。

モンスター達が住む世界に一人の人間が落ちてきてしまったところからこの物語はスタートする。この不思議な世界から脱出するため、世界に生きているモンスターたちと時に傷つけ合い時に協力しながら、主人公は冒険を繰り広げていく。

個性豊かなモンスター達との出会い、育まれる友情、明かされる真実、そして別れ。

王道ド真ん中を行くファンタジーに対し、これでもかと盛り込まれたユーモアとメタ的要素が(普通邪魔になるものだが)かえって物語への没入感を加速させる。

至る所で「傑作」との呼び声高い本作であるが、確かに嘘偽り無い「傑作」だった。

「UNDERTALE」を傑作足らしめている要素として、特徴的なゲームシステムと徹底的なメタ的演出が挙げられるが、先ずはゲームシステムの方から紹介して行きたいと思う。

 

 

誰も殺さずに済むRPG

「特徴的なゲームシステム」と上記したが、ゲームシステムの殆どは一般的な「MOTHER」ライクなものと殆ど同じであり、新鮮味があるかといえばそうでもない。

だがエネミーとの「戦闘」だけは違う。他のMOTHERライクとの決定的な違いはここにある。

本作の戦闘システムはオーソドックスなコマンドターン制システムだが、敵の攻撃ターンになると弾幕シューティングゲームが展開される。自機を象徴する「♡」を操作し敵の攻撃を一定時間かわし続ける必要がある。基本的に戦闘が長引けば長引くほど攻撃の種類は変わり、勢いが苛烈になっていく。

エネミー毎に弾幕の種類は異なり、複数体登場した場合は弾幕が重なりあうことになる。一見難しい様に思えるが、ボス以外、所謂ザコ敵のそれはかなり簡単なので特に家負いする程でもない。

本作におけるザコ敵はランダムエンカウントだが、エンカウント率は低いため、延々と弾幕STGをすることになるということは全く無いということも一応述べておきたい。

 

 

弾幕STG以外の特徴的な点として、「こうげき」コマンドの他に「こうどう」「みのがす」コマンドがある点が挙げられる。何も敵対するモンスター達は人間に対して明確な敵意を持っている奴らばかりではない。「こうどう」コマンドを活用することで上手く説得したり彼らの悩みや不満を解消することができれば、敵を攻撃でもって倒す以外にも、敵の戦意を喪失させ、「みのがす」コマンドで戦闘を強制終了させることが可能なのだ。ちなみにこの場合、レベル(本作では「LOVE」)を上昇させる為のポイント「EXP」は手に入らない。

「こうどう」「みのがす」コマンドが活用できるのはザコ敵だけではなく、ボスも例外ではない。その為、上手に立ち回ることができれば、表題どおり「誰も殺さず」物語を終えることも可能である。

 

 

世界の中に落とすのではなく、世界を拡張する演出

次に紹介するのはふんだんに盛り込まれた「徹底的なメタ的演出」の数々だが、これについては作品の根幹に関わることでもあるため、ネタバレを避けつつ、代表的なものを紹介していく。

メタ的演出を導入している作品が多数ある中、本作が演出という面で数多くの良評価を得た理由は、その演出が「プレイヤーを作品中に登場させる」ものではなく「作中のキャラクターが私達の現実世界を認識する」ものであり、且つそれが違和感なく1風景として自然に盛り込むことに成功していたからだ。この手法を取り入れた代表的な作品を挙げるとするならば(漫画だが)デッドプールなどが有名だろう。

作中様々なものが、主人公を通じて私達に向けて語りかけてくる。何もキャラクターだけではない。背景ビジュアル、アイテム、システム、あらゆるものがプレイヤーである私達に訴えかけてくる。

例えば、お金と交換でアイテムを購入できる「ショップ」。

当然のごとくメニュー画面の中ににアイテムを売却するための「うる」コマンドがあるのだが、選択するやいなや「ここは売店だぞ?ゴミの買い取りなどやってるわけなかろう!そんなの常識だろ!」と断られてしまう。

例えば、喋る謎の花、「フラウィ」。コイツは明らかにプレイヤーを認識しており、セーブ&ロードを繰り返してモンスターを殺したり生かしたりをしていると「気色悪いやつだ」などと言及してくる。(プレイヤーを認識できる理由もちゃんと存在する)

 

 

この世界にリアリティを与え、あたかもゲーム中に「世界がありありと存在する」ような錯覚を覚えさせる上記のような演出群は実にユーモアたっぷりで面白く、尚且つ「ファンタジー」な世界観を壊すことがないよう綺麗に纏まっているのだ。

 

 

その他気になった点

何故インディーズゲームのBGMはこうも素晴らしいものが多いのだろう。多分に漏れずUNDERTALEのBGMも最高だ。ボス戦などといった要所要所でかかるものから街やダンジョン内にかかるものまで、印象に残るものが多く、一度聞けばその情景がすぐにでも思い浮かぶ

パッケージ版に関してはここから近日発売予定である他、今すぐにでも試聴したい方はAmazoniTunesから音源のみで購入できる。

 

このゲームは元々海外向けに販売されているという前提と演出上台詞回しが非常に独特という事情から、ローカライズに関する問題が正式な日本版発売以前より話題になっていたが、あくまで今回のプレイが初見だった私にとっては別にこれと言った違和感はなかった。寧ろ丁寧に作り込まれている印象を覚えた。

 

不満があるとすれば弾幕STGの場面で操作がしづらい。自機である「♡」を移動するには十字キー、もしくはアナログスティックを用いるのだが、如何せん移動速度が遅く、初見のボス敵の攻撃をかわしきれないことが多かった。これは死にゲーだよ、レトロゲーだよと言われれば黙るしかないが、快適さという面ではいささか問題だと思う。当たり判定もよくわからん。

 

あとストーリーが重要な作品なので本当にネタバレに関しては気をつけたほうが良い。楽しみが1/3程削られてしまう。Wikiはせめてクリア後に。

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 ここまで読んでいただいて申し訳ないが、ぶっちゃけこんなレビューはさっさと読み飛ばしてすぐにでも「UNDERTALE」をプレイして欲しい。そこまで言える程素晴らしい作品である。特にゲームをよくする人には是非プレイすることをオススメする。琴線に触れるものが必ずあるはずだ。

奇妙奇天烈なキャラクター達、最高のBGM、面白い演出、そして唯一無二の物語がキミを待っている。