久しぶりの更新が宣伝になってしまうことに関して、非常に申し訳ないです。それと同時に、やっとここまで来たことをこうして報告できることを非常に嬉しく思っています。
初めて商業作品で批評を描かせていただきました。しかも『KH3』というビックタイトル。身に余る光栄です。感謝の言葉もありません。
渾身のレビュー、是非ご一読ください。ちなみにシステムだけでなくストーリーに関しても言及しているので、未クリアの方はご注意くださいまし。
これをバネにして、今後もいろんな文章を書いていきたいですね。
『ASSASSIN'S CREED ODYSSEY』はUBIの看板タイトル『ASSASSIN'S CREED』シリーズ最新作。
昨年『オリジンズ』を発売したばかりであるのにもかかわらず、立て続けにさらなる新作を発売できるのは、世界中に制作スタジオを持ち、人海戦術を得意とするUBIにしかできないことだ。
クリアまでおよそ60時間の大ボリュームにも関わらず、最後まで飽きずに楽しむことができた。
今回の舞台は紀元前5世紀の古代ギリシャ。ペロポネソス戦争により、アテナイとスパルタそれぞれを中心として2分された世界の中で、主人公であるカサンドラ/アレクシオスは、散り散りになってしまった家族の行方を追いながら、戦争そのものを裏で操る組織「コスモスの門徒」による陰謀の打破と自らに課せられた宿命の達成を目指すこととなる。本作は「選択肢」を重要視しており、物語の中で度々プレイヤーに迫られる選択によって、後の展開が変化する。
海戦もオリジンズから大きく変化してる訳ではないね 楽しい #PS4sharehttps://t.co/z1FZP8W3iu pic.twitter.com/rVTAdrzJEc
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) October 8, 2018
基本的なシステムは『オリジンズ』の内容をよりブラッシュアップしたものとなっており、本編から探索まで遊んでいて非常に楽しい。特に戦闘面においては、スキルポイント振り分けの重要性や、武器ごとのモーションの増加、スニーキングによる暗殺の快適さの向上など、前作より一層戦略的で、面白くなっている印象を受けた。特に本作の目玉のひとつである「ギリシャ神話に登場する怪物との戦闘」においては、これまでのシリーズからは考えられない程に本格的なロックオンアクションが楽しめる。
アサクリオデッセイ、神話の怪物「ミノタウロス」戦。まさかアサシンクリードの名を冠する作品でこんなバトルアクションが出来るとは 面白い。 #PS4sharehttps://t.co/z1FZP8W3iu pic.twitter.com/PtG8sB2JYR
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) October 14, 2018
各所でレベリングが面倒くさい(レベル上げに必要な経験値の量が多い)という意見が散見されるが、実際遊んでみると別段そういったことは感じられなかった。
『オリジンズ』もそうだったが、本作は本編とは異なるサブクエストをクリアしたり、敵の拠点を落としたり、新たなロケーション(遺跡など)を発見することで多くの経験値が手に入るシステムを採用している。世界をめぐり、各所で困っている人を助けていれさえすれば、レベルなんてものは早々にMAXになっているものだ。
確かに「探索するための纏まった時間が取れない」とか「そもそもめんどくさい」というプレイヤーもいるだろう。そういうときは素直に難易度を「イージー」に下げれば良い。敵も弱くなるし、レベル差が離れていても、その値が5以内であれば普通に戦える。「そもそも探索やサブクエ達成が嫌で、本筋だけ追っていたい!」というプレイヤーに関しては、おとなしく「経験値永続ブーストボーナス」の課金をするしかないだろう。
この方式を批判するプレイヤーも少なからずいるが、そもそも開発者側が想定する遊び方から逸脱しているにもかかわらず、それでもゲームを楽しみたいというのは一種ワガママであり、それすらも解決する手段を用意している今回のUBIは割と良心的ではないかと私は考えている。
後に本格的なレビューを書く予定でいるのでお楽しみに。
前作『オリジンズ』に関するレビューは以下のリンクから読めるのでぜひ。
『RED DEAD REDEMPTION II』(以下RDR2)は『Grand Theft Auto』などで知られるR☆(ロックスター)ゲームスの最新作。
いろいろと物議を醸している本作ではあるが、チュートリアルを経てチャプター2に到達した現在、個人的には非常に楽しめている。
積雪の表現が素晴らしい GOWやホライゾンにひけをとらない #PS4sharehttps://t.co/8Qyo25xN2y pic.twitter.com/FOT6Dy2D5N
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) October 28, 2018
本作の特徴は、可能な限り"ゲームらしさ"を徹底的に削ぎ落とすことで、不条理含めたリアリティをとことんまで再現した、狂気とも言えるこだわりにある。
ゲームらしさというのは、例えば「頭の上に矢印アイコンが出る」とか、「町中を走り回っていても不審者認定されない」とか「ポケットの中に無限にモノをしまえる」など、ゲームがゲームであることを象徴する要素を指す。
ゲームらしさとリアリティは対局に存在しているものであり、本作ではただ映像描写を「リアル」に近づけるだけではなく、上記のゲームらしさを可能な限り排除することでリアリティを演出、プレイヤーに世界への圧倒的な没入感をもたらしている。
例えば銃撃戦の際は攻撃前に撃鉄を起こすモーションが必要になったり、世界観に関する情報が新聞や人からの伝聞と行った作中で手に入るメディアからしか得ることが出来なかったり、拠点へのファストトラベルがほとんど使用できないといった点などが挙げられるだろう。
一方、現実に近づきすぎて、尚且つゲームらしくも無くなっている事による不快感というものも勿論ある。リアルを追求した結果「ゲームであるがゆえの限界」に直面し、ゲームらしい部分が悪目立ちしてしまっている部分も存在する。
例えば遊んでいる最中に聞き取ることができるセリフ周りに関する部分だ。
本作ではクエスト中だけではなく様々な場所で、この世界に点在する人間たちと会話を行うことができる。その内容も膨大だ。だが、本作がゲームである以上、本作で行うことのできる会話はプレイヤーの現状と相対的なものでしか無い。基本パターンの会話の上に、名誉システムの現状などを踏まえた内容が上乗せされるだけだ。
プレイヤーがNPCと行える会話はウィットとジョークに富んだアメリカらしいものではなく、非常にシステマティックで虚しいものである。
本作はRPGであるが、ロールプレイとは対象のキャラクターになりきることだ。その最上位に来るのが対象の人生をシミュレートすること。そして人生は不条理に塗れ、選択と結果の連続である。多数の問題を抱えているものの、『RDR2』はロールプレイを超えた、人生シミュレートの領域に迫ろうとしている。
本作も後日きちんとしたレビューを書く予定でいるのでお楽しみに。
我が家はテレビがないので、映像作品を観たいときはNetflixを観ている。
最近だと以前押井守原作のアニメ映画として話題になっていた『人狼』の 韓国実写リメイク版が面白かった。
アニメ版が持つ良さをしっかりと踏襲しながら、キム・ジウン監督特有の演出によって、上質なエンターテイメント作品へと姿を変えている。
堅実かつ豪快なアクションシーンは本作における見どころの一つだ。
古典として知られる名作ゲーム「悪魔城ドラキュラ」を原作としたNetflix限定配信アニメ『キャッスルヴァニア』の2期も最高だ。まだ全部観終わってはいないが、1期で観られた爽快なアクションと、骨太なダークファンタジーは健在である。
原作をプレイ済みの人はもちろん、ゲームをやってない人でも楽しめる内容となっている。Netflixに登録しているならば、ぜひ観て欲しい1作だ。
あと高尾山に登った。登山はいいものだ。山の最寄り駅である高尾山口駅の裏にはスーパー銭湯があり、これがマッチポンプ、ピタゴラスイッチということなのか。
高尾山 RTA(リアル登山アタック)1号路 ケーブルカー無し 男坂チャート 工事完了です
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) September 28, 2018
タイムは目標90分を大きく上回る約62分 pic.twitter.com/et9Ae7yrgu
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) September 28, 2018
高尾山口駅裏にあるスーパー銭湯、極楽泉が最高だった ♨︎ pic.twitter.com/wdIYsykbps
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) September 28, 2018
9月20日〜24日の間開催されていた「東京ゲームショウ」(以下TGS)に行ってきました。
ビジネスデイの20日と一般公開日である23日の2日間参戦。こういった展覧会に、しかも自分の趣味の分野のものに仕事で参加するっていうのは将来の夢の一つだったんで凄く幸せです。
あと、"朝の満員電車”みたいな意味なく人混みに交じる状況っていうのは凄く嫌いなんですけど、こういう「祭り」というか、参加してる人たちみんなが自発的に盛り上がっている空間に交じるのは大好きです。
"楽しい"っていう気持ちが伝染して、自分も楽しくなってくる。それがたとえ一人でも結構楽しい。雰囲気だけで頬が緩む。
いろいろブース回って試遊したんですが、コンシューマ系で特に面白かったのは
スクエア・エニックスの『キングダムハーツⅢ』とアトラスの『キャサリン・フルボディ』。商業メディアにプレイレポ寄稿したのでぜひ読んでください。
特にキングダムハーツⅢは13年待った甲斐があった出来でした。来年まで生きる理由になった。
あと個人的にフロム・ソフトウェアから出てる『隻狼』をやりたかったんですが、
ビジネスデイですら朝1に並ばないと試遊できない人気ぶりでした。
一日中プレイ不可の状況が出来てた…ちなみにその時自分は世界初プレイアブルだった『DAYS GONE』の方に行ってました。編集さんと行ったんですが、普段からシューティングゲームやられてる方で触ったことのないゲームなはずなのにメチャクチャ上手かった…
インディーズ系で面白かったのは、個人的にダントツで架け橋ゲームスさんの『BLACK FUTURE88』。
ツインスティックタイプの2D横シューアクションなんですけど、
ドットを使って表現された映画『ブレードランナー』風のサイバーパンクなビジュアルが先ず最高。雰囲気がやばい。退廃的なBGMも良い。
ゲームシステム部分は一瞬無敵&すり抜けができるダッシュを駆使しながら銃や剣で敵を打ち落とすっていう、よくあるタイプのデザインなんですが、
攻略途中キャラクターをアイテムでビルド・アップする際、絶対に致命的なデメリットも一緒にゲットしてしまうという仕組みが凄く面白い。基本的に効果が強力であるほど、副作用であるデメリットも大きい。
デメリットを無視して強力なビルドを取るのか、それともデメリットを気にして控えめなビルドを取るのか。
こういったゲームはビルドに関して"最適解"みたいなものが生まれやすいんですが、デメリットという部分があるおかげで、"人それぞれ"になってるんですよね。
だから2度目、3度目という周回プレイがしたくなってくる。上手くなったらこれを試したいみたいな… 凄くいいデザイン。
製作者の方に訪ねたら発売は来年を予定しているそうです。楽しみ。
あと気になった作品といえば、
「毎日」中身が変化する無限生成のダンジョン攻略を世界中で競い合う
『常世の塔』。
『VA-11 Hall-A』の制作会社が送る新作ADV『N1RV AnnA』。
"電子グラフィックノベル"と称するADV『ghostpia』。既にスマホ版が価格無料で販売されている。
ブーメランの先に飛ぶ というアクションが楽しいヴァニア系、『ハテノマキナ』
ブーメランワープアクションゲーム「果てのマキナ」を作っています。興味がございましたら! #果てのマキナ #MachinaoftheEndhttps://t.co/5qjajnhFnL pic.twitter.com/kix7FD8om3
— おづみかん@TGSインディーA-63 (@ozumikan) June 15, 2018
VR系のやつもやりたかったんだけど時間がなくて断念。いやーほんと分身の術が欲しい。来年行くことがあれば、ぜひ体験したい。
それまで私はアメコミとは全く縁のない生活を送っていた。知っているのは「バットマン」くらい。あとは友達に勧められるままに映画を観た「キャプテン・アメリカ」と「スーパーマン」が凄く良かったなぁという思い出しかない。マーベルとDCの違いすらよくわかっていなかった。
当のスパイダーマンに関しては、"蜘蛛に噛まれて超人的な肉体と能力を得た人間"ということくらいしか知らなかった。本作を遊ぶまであの見た目はスーツではなく、変身能力に依るものだと思っていたくらいだ。
だが観てしまったのだ。昨年のE3。ソニーのカンファレンス。NYの町中をウェブで縦横無尽に飛び回るスパイダーマンの姿を。
よく知りもしないキャラクターが飛び回っているだけなのに、ドキドキとワクワクを堪えることはできなかった。将来買って遊ぶことはすでにその時点で決定していた。あのPVを観た時点で、私の心はもうスパイダーマンが放った網に捉えられ逃げられなくなっていたのだ。
そして時は過ぎ、今年のE3を経てようやく迎えた発売日。かつてプレイした名作「バットマン・アーカムナイトシリーズ」の焼き増しではないかという不安があった。あくまでファン向けのキャラゲーだという懸念もあった。
だが、蓋を開けてみればそれは単なる杞憂であることがわかった。OPからエンドロールまでの間、私は確かに、弱きを助け強きをくじく、親愛なる隣人「スパイダーマン」になっていた。
キャラゲーとはかくあるべしを体現したこの1作は、既存のファンのみならず、自分のようなスパイダーマンを1ミリも知らないような人間の心も絡みとる、愛と挑戦に満ちたゲームだと言える。
キャラゲーの魅力とは何か。それは漫画やアニメなど、他媒体でよく見かけている大好きなキャラクターや作品を、条件付きで自身の思うがままに動かせることにある。
本来そのキャラなら絶対にしなさそうな仕草をしてみたり、原作に添うことは無い"If"を表現してみたり。
物語の語り手が原作者からプレイヤーに移ることで、ゲームという枠組みの中ではあるものの、これまで頭の中で膨らませてきたキャラクターや作品に対するイメージを画面上に再現することができる。それがキャラゲーの魅力だ。
要するにごっこ遊び、2次創作であるが故、キャラゲーを楽しむには基本、原作の知識が必須となる。無いものを膨らませるのは難しいばかりか、プレイヤーがある程度の背景知識を持っていることを前提に物語が進行していく作品も多いからだ。
だがPS4版『スパイダーマン』に関してその心配は必要ない。私のような"スパイダーマンにわか勢"のような人間でもすんなりその世界に入門できるようデザインされている。
本作の物語はこれまで公開された作品のものとは地続きではない完全オリジナルな内容となっており、原作から流用されている設定はあまり多く無い。共通しているのはキャラクター達の名前、個々の能力程度であり、その内容も「コイツの特徴はすごく力持ち」のような1行で説明できるものである。
また、設定に関して"語らず映像で説明する"という形を本作では主に採用している。
専門用語混じりのテキストをキャラクターにくどくど喋らせるのではなく、映像内の情報量を多くすることで"こういうものなのだ"と直感的に設定をプレイヤーに理解させる。「重要なのはそこじゃない」と言わんばかりに。この手法を採ったことでプレイヤーは物語に対する没入感を損なわず簡単に設定を理解できるようになっている。
例えばOPでは、傍受した警察の無線で起きた主人公がスパイダーマンのスーツに着替え、悪党退治に出動するまでの流れが描かれている。
無線で目覚めた後ブレスレットをつけ、そこから出る糸を使ってトーストを回収し、臭うスーツに着替えていざ出勤という一連の描写は、スパイダーマンの立場や、特徴である「糸」、スーツの設定といった物語を語る上で根幹になる内容をプレイヤーに視覚からスムーズに理解させることに成功している。この映像と物語の表現に関するこだわりはさすがマーベル原作作品。原作が制作側に愛されているという証拠の一つだろう。
オリジナルな物語と、直感的に理解できる設定によって、私のような"スパイダーマンにわか勢"でもすんなり本作を楽しむことができるのだ。
物語そのものは序破急の全3章構成で、覆面ヒーローの王道ど真ん中を征く内容。
スパイダーマンとして悪を討つ非日常と、パーカーという1青年として夢を追うため努力する日常が並行して進行し、突如としてその2つは交差することとなる。
最終的にスパイダーマンとしてではなくパーカーとして、かつて日常の象徴だった悪を討つという展開は、わかっていてもカタルシスが止まらなかった。
スパイダーマンと言ったらスパイダームーブ。両手から放たれる糸を自在に操り、ニューヨークの摩天楼をビュンビュンと軽快に飛び回る。スパイダーマンをよく知らないこの私でも知っていることだ。
本作ではそれが本当に素晴らしい形で表現されている。では一体何が素晴らしいのか。
なかなかかっこよく動画撮れないね #PS4sharehttps://t.co/8kjCC2cBhu pic.twitter.com/G4tclhU6Md
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) 2018年9月9日
こういった障害物を軽々と乗り越える、パルクールのような移動が箱庭の中できる3Dアクションゲームというのは既に沢山存在する。
『アサシンクリードシリーズ』や『グラビティデイズ』が代表的だろう。『Titanfall2』なんてのもある。そしてもっと言うと、システムの根幹は前作である『PS2版スパイダーマン』と殆ど変わっていない。
これら既存のパルクールが可能な作品群や過去作とは異なり、本作におけるスパイダームーブがより素晴らしいものとして挙げられている理由は、「移動の滑らかさ」と「ケレン味」にある。
先ず移動の滑らかさについて説明したい。先程の述べた通り、本作では糸を建物に付着させることで、振り子のような独特の移動が可能となっている。それだけではなく、跳んだ先の途中で壁にぶつかった時には自動で張り付き、壁走りができるようになっている。また、点から点へ直接飛ぶ定点移動や、パルクール移動も可能である。
驚くべきところは、これら多数の移動方法がすべて優れたアニメーションによってシームレスに繋がるという点だ。
まるで"映画のワンシーンを流しているかのように"繋がり、なめらかに動く。
移動に使用するボタンがすべて「方向キー&R2ボタン」+αで構成されていることも滑らかさを演出するうえでの要素としては欠かせないだろう。複雑なコマンドをプレイヤーに要求させないことで意識を「移動すること」に集中させミスを少なくし、移動のテンポを一切損なわさせない。だがゲーマー向けのコマンドもきちんと用意してあるのだからインソムニアックは抜け目ない。
本作におけるスパイダームーブの素晴らしさを語る上で、「移動の滑らかさ」に加えて欠かせないのが「ケレン味」だ。要するに総合的な演出のことである。
上記のTwitterに挙げられた映像を見てもらえれば分かると思うが、スパイダーマンが飛び回る度に細かく様々な演出が入っている。
例えばカメラだ。画面右で平行に壁走りをしている際はカメラがスパイダーマンではなく中央に合わせられ、垂直で走っている時は壁と空が同時に入るよう自動でカメラが向く。高速ジャンプをしている時は位置を引き、振り子移動をする時は若干スパイダーマーンの目線に沿うかのような動きを見せる。
ちなみにカメラの調整はすべて自動で行われる。ただ移動するだけで、映画撮影をしているかのような気分にさせてくれる演出をゲーム側が勝手にしてくれるのだ。
GOD OF WARとはまた違った形の演出技法をとる最高のQTE。 #PS4sharehttps://t.co/8kjCC2cBhu pic.twitter.com/OAqDsU0Gpr
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) September 8, 2018
演出と言えばQTEにも触れておきたい。本作にはストーリーからランダムイベントまでQTEが随所に登場するが、決してプレイヤーの没入感を損なうものではない。なぜなら、本作のQTEで求められるコマンド入力は普段の操作の延長線上にあるからだ。
拳を使う場面では戦闘と同じ□ボタン。糸を使う場面では通常と同じR2ボタンというように。また、QTEの種類そのものが非常に少ないというのも高評価だ。突然現れたアイコンに対して即座に対応しやすい。
良い没入感をより深いものにするQTEの例として『PS4版GOW』がよく挙げられるが、こちらはカットシーンを一切用いないことでゲームとムービーの境を消し、意識の混乱を防ぐことで没入感をもたらした。一方スパイダーマンはムービーのゲームの境界は消えていないものの、ゲームの延長線上にムービーを置くことで没入感をもたらすことに成功している。
視覚的にも体感的にも「滑らか」な移動方法とそれに伴う「ケレン味」は、プレイヤーに"映像作品を動かしているような"気持ちよさを与える。あの日劇場で観たスパイダーマンのアクションを自らの手によって再現する楽しさ、喜び。
ちなみに私はスパイダーマン関連作品を観たこと無いのにもかかわらず何故か「これだよこれ!」と画面の前でつぶやいてしまった。
戦闘も良い感じに撮れない #PS4sharehttps://t.co/8kjCC2cBhu pic.twitter.com/f4UE8KLNwT
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) 2018年9月11日
ヒーロー物には欠かせない敵との戦闘に関しては意外にも難易度が高い。本作の戦闘はキャラゲーにありがちな敵をポイポイ投げるように倒せる難易度ではなく、ある程度アクションゲームに慣れているゲーマー向けに設定されたやりごたえのある内容となっている。
ゲーム内では基本的に多対1の集団戦がメインで行われるが、登場する敵キャラの攻撃がとにかく痛い。なにしろザコ敵とボスキャラの攻撃威力が殆ど変わらないのだ。また、特定の種類の攻撃が効かない雑魚キャラも登場するから質が悪い。油断した途端に取り囲まれてやられてしまうなんていうのは日常茶飯事である。(ちなみにボスキャラは躱しにくい範囲攻撃で攻めてくる)
そのため戦闘中プレイヤーは常に状況を捉え、適切な選択肢をとっていく必要があるが、この選択肢がまた多く悩ましい。
スパイダーマンらしく縦横無尽に駆け回りながら個別に敵を倒すもよし、ガジェットや投げ飛ばせるオブジェクトを用い集まってきた敵を一網打尽にするもよし、場外にふっとばして無力化するもよし。
特に戦闘中に使用できるお手製ガジェットとスーツパワーは回数が制限されているものの非常に強力で、戦況を一気に変える力を持っている。ここぞという時に使いたいが、出し惜しみしていると負けてしまうので注意だ。
敵の強さと自身の脆さ、そして取れる選択肢が絶妙な具合で同時に介在している本作の戦闘は、他アクションRPG作品と比較しても遜色ない戦略性とやりごたえを備えており、制作会社であるインソムニアックの「スパイダーマン好きだけはなく、ゲーマーそのものを大切にしたい」という姿勢が垣間見える。
『ラチェット&クランクシリーズ』など、正にこれまで自社製品で培ってきたアクションゲームに関するノウハウの結晶と言える出来栄えだ。
正直、スパイダーマンをよく知らない自分が、スパイダーマン愛について、しかも他人が表現するその愛の形について語るというのはそぐわない気がするが、それでもこのインソムニアックによるスパイダーマンに対する愛の大きさに関しては語っておかねばなるまい。
スパイダーマン活躍の舞台であるNY市街はただのミニチュア再現ではなく、活き活きとした生活感ある町並みとして精巧に描かれている。一度糸を封印し地を足につけてみればその美しさを理解できる。観光名所を巡るだけでも楽しいが、セレブが住む地帯といわゆる貧民街の描かれ方の違いなど、「アメリカ人が描くアメリカ」を感じてみるのも面白い。
また、本作では電光掲示板や看板、住民のアイテムや組織のイメージなど、商標ロゴがかなりの数登場するが、すべてオリジナルであるというのだから凄いものだ。ニューヨークで流行っていると言われても違和感が無い。
写実的に描かれているNYの町並みとは異なり、キャラクターのデザインはアメコミ風に描かれているように思える。これもまた、原作のあり方を尊重するインソムニアックのこだわりだろう。
本作では、サブミッションなどで手に入るトークンを消費することでスパイダーマンを様々なコスチュームに着替えさせることができる。コスチュームの種類は様々で、その殆どは歴代スパイダーマンのコスチュームを再現したものだ。その3Dモデルの美しさは言わずもがな。自分の好きなヒーローの姿でNYを駆け巡ることができる。
アクションRPGゲームにはおなじみの収集要素は本作にも取り入れられている。
その全ては本作におけるスパイダーマン「ピーター・パーカー」が本編以前までにたどってきた軌跡を象徴するものであり、また、スパイダーマンファンならニヤリとするようなアイテムとなっている。画像は「盲目の弁護士」からのメッセージ。分かる人には分かるのではないだろうか。
その他、東映版リスペクトの有名なセリフが存在したり、アヴェンジャーズの本拠地である「アヴェンジャーズタワー」やドクターストレンジの「サンクタム」、『ジェシカ・ジョーンズ』のエイリアス探偵事務所といったMARVELの世界にしかない建造物がちゃっかり建っていたりと、いたるところに小ネタが散りばめられている。
にわかな自分ではこれしか見つけられなかったが、ファンは更に沢山のリスペクト要素を見つけられることだろう。羨ましい。
確かに細かな不満点はある。天気の切り替えが特定の場所からでないとできないとか、もっといろんなヴィランに活躍してほしかったとか、プレイヤーの技術を試すチャレンジモードの最高評価の基準がシビアすぎるとか、あまりに楽しすぎてエンディングを迎えたくないと思ってしまったりとか。
だがそんな不満点を塗りつぶすように、この『Marvel’s Spider-Man』というゲームは大きな魅力に満ち溢れている。キャラゲーの何たるかを抑えながら、ゲーマーへのリスペクトを忘れないインソムニアックの姿勢は、IPの魅力に依存しない新たなキャラゲーの概念を作り上げた。
スパイダーマンを知ってる人も知らない人も、ぜひプレイして欲しい名作である。
『Hollow Knight』は現状考えうる限り、ニンテンドーeショップから購入できるインディーズゲームの中で、確実に5本の指に入るゲームソフトだ。
小気味よい操作性、骨太な難易度、美しいアートグラフィック、壮大な物語。加えて、およそ小規模開発ではありえないだろう50時間規模のボリュームを持ち得ながら1500円という破格の値段。
アクションゲームが好きならなんでやらないの?と自然に疑問符が湧いてくるほどのクオリティである。ただただ素晴らしいとしか言えない。詳しくはレビューを書いたので以下の記事を参照して欲しい。
『Darkest Dungeon』はクトゥルフ神話の要素を取り入れた、ダンジョン探索型ローグライクRPG。プレイヤーは様々な能力を持った冒険者を集め4人一組のパーティを作り、旧神の脅威渦巻くダンジョンへお宝目指して潜り込む。
1見するとよくあるゲームタイプだと思われがちだが、このゲームの最大の特徴は「ストレス」という特殊パロメーターにある。
冒険者はダンジョンの探索を続けていると、様々な要因によって「ストレス」を受ける。"周りが暗くて不安"からはじまり、"敵の攻撃が痛い"だの"腹減った"だの"もう休みたい帰りたい"だの、事あるごとに文句を垂れ流しながら心にストレスを溜めていく。
お前ら覚悟決めてダンジョンに来たんじゃないんか?! 口より先ず足と腕を動かせや!
そうして溜まったストレスが心のキャパシティを超えると、冒険者の心身は異常をきたし、ゲームプレイに悪影響を及ぼす。戦闘中にもかかわらず戦闘を行うのを拒否したり、延々と愚痴をこぼしてパーティ全体のストレス上昇速度を加速させたりとその影響は様々だ。稀に吹っ切れたのかステータス向上など良い効果を発揮する場合もあるが、基本的にはストレスの蓄積は悪影響しかもたらさない。
冒険中に溜まったストレスは病院やバーなど各種施設でお金を払うことで解消される。
また、命からがらダンジョンから生還すると活躍した冒険者には新たなる能力が付与される。”新たなる能力"といえば聞こえが良いが、「妄想癖」だったり「恋愛依存症」だったりと良い能力だけではなく悪い能力も同時に手に入ってしまうから困りものだ。
RPGは数字で戦う情報戦だとはよく言われるが、この『Darkest Dungeon』というゲーム、情報管理という面で本当に難易度が高い。
攻略するダンジョンの規模に合わせた、ストレス軽減用のアイテムと薬品などの回復アイテムのバランスだったり、(持てるアイテム量には制限がある)悪い能力が溜まってきた冒険者を雇い続けるかクビにするかといった雇用管理だったり。
様々なところでお金が入り用になってくるため、財産管理も手は抜けない。
単純に序盤だからという理由もありそうだが、本作は上記の理由からゲーム内のキャラクターだけでなくプレイヤーにもとんでもないストレスをもたらすゲームである。お気に入りのキャラクターにとんでもないバッドステータスがついた日にゃ ああああああああああああああああああ(発狂)
しかしよく出来たゲームでもあるため、そういった不快な点も逆に楽しめるという方にはぜひおすすめしたい作品だ。ストーリーを楽しむというよりか繰り返しの探索がゲームのメイン(いわゆる作業ゲー)という点がSwitchというゲームハードに非常に噛み合っており、作品の合間合間に遊ぶには丁度いい内容となっている。購入はDL方式を強く推奨したい。
「光」を操る能力を持った謎の主人公が、豪雨に沈んだ都市を今一度目覚めさせるべく、パズル解いていくというSFチックな世界観を基調としたパズルゲーム。
あああああああああ #NintendoSwitch pic.twitter.com/ZNOm1P7qcM
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) August 29, 2018
本作で登場するパズルは主に「一筆書きタイプ」のアレンジ。パズルそのものは易しすぎず、かといって難しくもない、時間をかければ確実にできる難易度であり、"解決するまでにかけた手数の少なさ"や"本来選択する必要のない経路をあえて採ったか"といった条件設定によって難易度調整が図られている。これはクリアだけしたい人や難しいパズルを解きたい人、両方の需要を満たすことのできる良調整だ。
また、作中でかかるBGMは雨とピアノの音をメインとしたアンビエントで心地いい。パズルが解けずイライラしても、耳を澄ますだけで心が落ち着き、今一度問題に挑む気にさせてくれる。
ゲームそのものは非常に良い出来ではあるのだが、ローカライズを中心に細かい問題が目立つ。特にゲーム終盤、クリアに関わる重要な部分でバグを発見してしまった。これは致命的である。
(説明すると、終盤、主人公は新しいパズルの解き方として一筆書きのルートを新しく構築する能力を得るのだが、新しく作ったルートが使えない場合が存在する。終盤はこの能力を用いてパズルを攻略するため、バグが有る限りゲームクリアできない。)
進行不能バグやめて頂きたい お便り出すか。。。 #NintendoSwitch pic.twitter.com/N7glx7Opel
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) September 2, 2018
一応制作会社宛に英語でメールは送ったものの、台湾の会社のようなので中国語のほうがよかっただろうか… 繰り返し言うが、作品そのものの出来は良いので非常にもったいない。早い解決がされることを願う。(なおPC版やIOS版では見られないバグな模様)
『ICEY』は主人公である女性型アンドロイド「ICEY」を操り、「ユダ」に支配された世界を救うべく、スタイリッシュに敵を切り捨てながらステージを駆け抜ける2Dアクションゲーム。ゲームプレイに関しては「チャージショットのないロックマンゼロ」を想像してもらえればありがたい。ダッシュによる高速起動を活かし空間を縦横無尽に飛び回りながら、そのブレードでもって敵を鉄くずに還してやろう。
ゲーム自体は非常に簡単で、筆者はハードモードで遊んだが、それでもクリアに時間はかからなかった。普段アクションゲームに疎い人でも本作の攻略に関し悩むことは無いだろう。
下野ボイスで開発者の愚痴が始まったwwww #NintendoSwitch pic.twitter.com/biYvKE5un5
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) August 29, 2018
しかし本作の肝は爽快感あふれるゲームプレイそのものではなく、別のところにある。
ゲームを遊んでいると、主人公の周りを漂っている「ナビ」が多種多様な支持をプレイヤーに向けて出してくるが、それを無視した行動をして暫くすると思い通りの行動をとらないプレイヤーへ文句を言い始めるのだ。
「どうして矢印の方向へと進まないんだ!」「ステージギミックを省略するんじゃない!」
汐!汐が始まったんだけど!俺ICEY買ったんだけど! #NintendoSwitch pic.twitter.com/JTRqVfq8VD
— あまぎ/Takayuki Sawahata (@amagi_over) August 29, 2018
それでも無視していると、プレイヤーに対し呆れたのか案内を放棄し、突然歌を歌い始めたり、開発中の愚痴をこぼしたり、昨今のゲームに対する皮肉を述べたり、あげくの果てには「プレイヤーに本作は向いていない」と別のゲームの紹介をしてくる。
ナビのC.Vである下野紘の怪演もまた素晴らしい。すんごくはっちゃけてる。
ICEYを使って意味不明な行動を取り、メタメタに満ちたナビの反応を楽しむのが本作本来の味わい方と言えるだろう。
昨今、本作をはじめ『undertale』や『僕と彼女と彼女の恋』、『ドキドキ文芸部』をなど"第4の壁を突破していること"を特徴にしたゲームが増えてきたように思う。
これからのVR技術の発達によって、ファンタジーの世界を画面から眺めるだけだった私達プレイヤーが、真に世界の住人になれる日は遠くないだろう。そのとき、ICEYのようなメタフィクションゲームはどういった意味を持つようになるのか、非常に興味深いところである。
『Splatoon2』作中における一人プレイモード「ヒーローモード」の追加ストーリーを描いたのが今回プレイした「オクト・エキスパンション」である。
ゲーム内容の大本に関してはヒーローモードとは特に変わらず、用意されたステージをこなしていくのが基本だ。だが用意されたステージの数は80に達し、中身はバラエティに富んでいる。難易度も本編における「チュートリアル」を基調としたレベルデザインとは異なり、TPSというより3Dアクションに近いところまで拡張され、80ステージすべて、より技術的な能力が試される内容となっている。
正直遊ぶ前は殆ど内容に関して期待していなかった。マルチプレイ主体のゲームでわざわざシングルプレイモードの拡充を行うというのがよく理解できなかったし、加えて本編のシングルプレイモードがそんなに面白くなかったからだ。
だが 『Splatoon』の世界観そのものは非常に魅力的であり、その一端に触れることができるのならという願いと、マスコットキャラであるにもかかわらず本編で影の薄かったテンタクルズの活躍が見たいという理由で購入を決意。ほとんど衝動買いに近く、面白くなくても仕方ないかなという諦観も抱いていた。
杞憂だった。非常に満足の行く内容だった。ゲームプレイに関してステージ数は先述したとおり80もあるが、1つ1つ、攻略にかかる時間は短く且つ内容は濃い仕上がりになっておりテンポが良い。
「クリアしたことにする」という救済措置はその構築されたテンポを損なわないための機能としてしっかりと成立している。
タコちゃん以外期待してなかったビジュアル、ひいては世界観デザインもまた実際に触れてみると素晴らしいものだった。
暗黒の中に80年代〜90年代の遺物漂う舞台や、俗に言う「死語」が使用されたステージ名、ループを多用しローファイめいたBGM、そしてキャラクター型消しゴムなど、"既に過ぎ去ったもの"がそこかしこに散りばめられたオクトの「地下世界」は懐かしさと同時にどこか哀愁のような感覚を抱かせる。本編が正に"ポップカルチャーの象徴"のような世界であることも手伝っているだろう。だがこれらの要素はプレイ中に触れられるは一切ない。語らず示さず、「過去は思い出すものだ」ということなのだろう。
ストーリーに関しては完全に1から続く「ヒーローモード」の続編であり、これまた良かった。
本作のマスコットであるテンタクルズや前作キャラの設定回収を基本とし、これまで対立してきたイカとタコの関係の進展、そして世界そのものの成り立ちに関わる部分へと、「地上へ向かう物語」の展開は進めば進むほど「深み」を増していく。
特に最後の展開はこれまでに培った技術、張られた伏線、やっぱりきたお約束、Splatoonと言えば!みたいな要素が総動員されたもので、もう感極まってしまった。
イカやタコには無い"脊椎の名を冠するエレベータ"を登って待ち受けているのは…
『Splatoon2』を遊んでるイカしたプレイヤーは絶対買ったほうがいい。ほんと。
一昨日から放送しているNHKの番組『みんなで筋肉体操』の影響で、筋トレを始めた。
トレーニングを始めたとは言っても、毎日番組内で行われているカリキュラムをこなすだけではあるが。
昨日は腕立てのメニューと腹筋のメニューをこなした。今日はそれに加えて放送分のスクワットを取り入れるつもりだ。筋肉痛は、まだ来ていない…
『みんなで筋肉体操』に関して、とにかく良いなと思ったと思ったことは1種目5分という時間設定だ。
個人で筋トレをするとなると、大体「腕立て20回 腹筋20回 背筋20回 スクワット20回…セット数は3セットでいいだろう。種目間のインターバルはまぁ1分でいいかな(体感)」みたいなことに陥りやすい。そして次第に1種目をダラダラとこなすようになり、最終的には「まとまった時間を確保できない」という曖昧な理由から挫折してしまうことが多い。私はそうでした。
だが番組ではこれから放送される分も含めて、4種目合計20分。
寝る前に20分確保することで、上半身から下半身にかけて筋トレができる。なんと素晴らしいことか。自分で時間を測らなくていいというのも素晴らしい。私はただYouTubeを開いて再生ボタンをクリックして筋肉を酷使するだけでいい。
さらに"5分以内に全力を尽くす"というコンセプトも最高だ。回数設定を重視すると、"とりあえず目標数をこなす”ことに意識が向いてしまい、意志の弱い私は次第に1回1回の動作がおざなりになってしまう。これではいけない。
しかし制限時間内にやれることをやるというコンセプトであれば、スイスイ運動できない自分に引け目を感じること無く、1度の動作を丁寧に行うことができる。
「あと◯秒しかできませんよ」という掛け声、ありがたい。
筋トレの効果が目に見えて実感できるようになるのは大体2ヶ月〜3ヶ月後だ。
つまり3ヶ月続けてやっと成果を実感できるということである。
3ヶ月継続できるかはまだわからないが、とりあえず1週間は続けてみようと思う。
それは、なんとなしの出会いだった。
当時の私はなんだか(まぁ、今もそうなのだが)自分から動くことに疲れていた。
肉体的な疲労からくるものなのだろうか、精神的なものなのだろうか。あるいは、その両方か。とにかく疲れ切っていた。もうダメだという具合だ。
そういう時に限っていつも懐は冷えている。外は死者が出るほどのカンカン照りが続いているというのに。もしかしたらこの疲れは、絶賛氷河期中の懐事情を慮った肉体が、なるべくエネルギーを消費させないようにした防衛策なのかもしれない。
ああ、このままでは寒さで冬眠してしまいそうだ。だがゲームはしたい。常になにか一本ゲームをしていないと落ち着かない。ゲーマー特有の禁断症状だ。この大きな手のひらが、コントローラーを握らせろとうずうずしている。幸い、蕁麻疹や幻覚といった諸症状は出ていない。
いくらゲームがしたいと念じれど、先述したとおり財布はキンキンに冷えたままだ。
幸い、先日銭湯帰りに購入したニンテンドープリペイドカード3000円分のクレジットが余っていたので、そこから何か安いインディーズを一本買うことにした。
それが私と『Hollow Knight』の出会いだった。
期待はしていなかった。数時間潰すことができればラッキーだと考えていた。牛丼屋に美味しさや最高のサービスを期待することが無いように、たかが1500円のゲームに対して、ボリュームややりごたえ、といったものを期待するのはお門違いというものだ。
私が若しこのゲームの製作者に出会えたとして、先ず伝えなければいけないのは謝罪の言葉だろう。たかだか1500円、値段相応のクオリティだと先入観をもっていた自分を恥じたい。本来ならこの作品は倍額以上の価値のある作品だ。それをこの価格で提供するという行為に対し敬意を表する。
『Hollow Knight』は俗に"メトロイドヴァニア"と称される、様々な仕掛けが備えられた広大なダンジョンを自由に探索することに重きをおいた2Dアクションゲームだ。また、ソウルシリーズのような「死んだらアイテムロスト」の概念や数多くのボスエネミーがダンジョンのいたるところに配置されているのも特徴である。
本作は様々な蟲がまるで人間のような文化を形成した世界「ハロウネスト」を舞台に、出自が一切不明な主人公が、自らに課せられた使命を達成するため、かつて王国があったとされる地下世界を旅するという内容となっている。冒険譚ではあるが、直接的な内容が作中で語られることはなく、プレイヤーに与えられるのはダンジョンの各地に配置されたモニュメントやNPCから読み取ることができる断片的な情報のみである。
とはいっても決して情報量が少なすぎるというわけではなく、探索を隅々までおこなっていれば、物語の全容は自然とプレイヤーの脳裏に浮かび上がってくることだろう。
本作に用意されたダンジョンはとにかく広い。そこらのインディーズメトロイドヴァニア作品とは比べ物にならないほど広い。そして舞台である「地下世界」というイメージにとらわれない、様々な表情でもってプレイヤーを出迎えてくれる。
薄暗い洞窟はもちろん、鉱石きらめく鉱山や、きのこの胞子漂う神秘的な空間。失われた王国を思い起こさせる城下町や、緑生い茂る庭園、雪山ダンジョンなんていうのも存在する。
ダンジョンの構造はまるで"アリの巣”のように入り組んでおり隠し道も豊富で、「あっ、ここにつながるのか」といった発見に探索をすればするほど出会えるだろう。
ダンジョンの構造は入り組んではいるものの、迷路のように複雑で遠回りな道を強いられるような内容ではない。しかし、『ロックマン』シリーズに代表されるような、アクション性の高いギミックがあちこちに用意されている。落とし穴や針山、移動する足場などなど、プレイヤーに"練習"を強いるようなトラップが満載だ。
しかし、いわゆる即死トラップというものは無く、トゲに刺さっても穴に落ちても数個ある体力アイコンが1つ減るだけだが、後述する戦闘システムや、「死んだらアイテムロスト」(アイテムといっても通貨のみだ)の概念も相まってプレイヤーには高いアクション性と"失敗することへの耐性"が求められる。そう、本作は死にゲーなのだ。
ダンジョン探索と切っても切り離せない関係にあるのは「地図」だが、本作の地図は、「プレイヤーが書き込む」形式をとっている。つまり、まだ行ったことのない地域に訪れたことで始めて地図に情報が追加されるという仕組みだ。
しかもダンジョンごとの地図は対象のダンジョン内でしか手に入らないため、プレイヤーは先ず新しい地に踏み込んだ途端、感動と共に迷うことになる。場合によっては数時間、あてどなく見知らぬ土地をさまようことになるだろう。
トラップ満載なダンジョンの中を強制的にさまようことになるというこのデザインは一見ナーバスな要素に思えるが、私はこの要素が本作の魅力を一層のものにしているように思える。
新しいダンジョンに足を踏み入れた時、プレイヤーは必ずこれまでの冒険の経験とトラップへの恐怖から、どうしても慎重にならざるを得なくなり、思い通りに動けないフラストレーションと、「あとで絶対ここに来る」という願望を心の内に溜めていく。
そしてやっとの思いで地図を手に入れ眺めた時、フラストレーションからの開放と、埋まってない部分の多さからくる驚きによって、プレイヤーは探索欲求を自然と刺激されてしまうのである。
戦闘に関しては入力からの伝達速度、そしてエフェクトからくる攻撃の気持ちよさが申し分なく、特にボス戦の面白さに関してはダンジョン探索と双璧を成す程の目玉であると胸を張って言える出来栄えである。
どのボスも初見では先ず撃破できないような殺意でもってプレイヤーを殺しに来るが、必ず攻撃の合間合間に短いながらスキが存在し、躱せないような攻撃も、何度も練習すれば、必ず躱すことができる丁寧なつくりになっている。
苦労して倒したボス戦のご褒美は、物語に関する情報だけではなく、ダンジョン探索をさらに拡張させる「ダッシュ」や「2段ジャンプ」といったアビリティだったり、本作のキャラクターカスタマイズ要素である「チャーム」だったりする。
チャームは主に戦闘面で役立つ能力(ex攻撃範囲拡張、攻撃速度上昇、威力アップ)をプレイヤーに付与するアクセサリーであり、規定されたスロット数だけ装備することができる。また、チャームには隠された効果や特定のモノと一緒に装備することで効果が変化するものも存在している。ボス戦においては極めて重要な要素であるため、自分なりの組み合わせを試行錯誤するのは楽しい。
また、ボスの攻撃でうけるダメージとダンジョン中に点在するいわゆる"ザコ敵"から受けるダメージが等しいというのも評価したい。これによって道中でのザコ戦にもステージギミックと相まって大きな意味が生まれてくる。
迷いながらもダンジョンを探索し、ボスを倒し、さらにダンジョンの奥地へ進むというサイクルはプレイヤーに対し圧倒的な中毒性を生み出す。そのサイクルの中で与えられる物語の断片は、もっと知りたいという欲求からその中毒性を加速させる。
このハマったら抜けられないサイクルを影で支えるのが、素晴らしいアートやBGM達だ。
全て手描きで描かれたという、蟲をディフォルメしたキモ可愛いキャラクター達やそれぞれのステージを表現するポップでダークな背景群は観ていて飽きることがなく、形のない物語を支え、説得力を与えるための屋台骨となっている。またその美しさは箸休めとしてもちょうどいい。BGMも総じて地下世界らしくしっとりと落ち着いた雰囲気でまた良し。
ボス戦に疲れたときや、なかなかトラップが突破出来ない時、ステージ内のセーブポイントに腰を落ち着けコントローラーから手を離し、ただ画面をぼぅっと眺めてみるのも一興である。
モンスター図鑑やアイテムに付随するミニテキストなど、Tipsが豊富なのも個人的に嬉しい。語られない世界感と相まって、頭の中で妄想がどんどん膨らんでいく。
私が本作をクリアするまでにかかった時間はおよそ22時間。真エンド達成までにかかった時間はおよそ50時間。ちなみにまだ解き明かしていない要素が多々ある。これが本当に1500円のボリュームなのか今だに信じられない。
「迷う」ところから始まるステージ探索、やりごたえのある戦闘、達成と拡張のサイクル、そして秀逸な物語とアートワーク。正直言って「高難易度メトロイドヴァニア作品」として完成され過ぎていて、欠点らしい欠点が見当たらない。強いて言うなら"死にゲーレベルな高難易度"であること、"メトロイドヴァニアであること"という、ゲーム性そのものくらいだろうか。
本作は既にPC版(Steam)が出ているが、あえてSwichでプレイすることのメリットに関しては特に無いだろう。特に戦闘など、プレイするにあたってかなり集中を要する作品であるため、外出先でちょこっとプレイするという形態には向かないゲームだ。PCで遊べるならPCで遊んだほうが良い。だが決してハードにSwitchを選択することがデメリットになるわけではないということだけは伝えておきたい。遊ぶ時はプロコンをおすすめする。
この『Hollow Knight』という作品は、メトロイドヴァニアというゲームジャンルが何故評価されているのかという基礎を十全に理解し、それを磨きあげた傑作である。
一度ハマったら途中で辞めることは難しい、正に"蠱惑的"な蟲達の世界にあなたも踏み入れてみては如何だろうか。